老犬の床ずれの予防と介護

老犬の床ずれの予防と介護

犬の床ずれ

 床ずれってなぜ起こるの・・?

 

床ずれは長時間にわたって動けず同じ姿勢で寝ていると、身体の骨の出っ張ったところに体重が集中するため 床と接している部分が圧迫にされ、血が通わなくなって皮膚・皮下組織・筋肉が死んでしまうという状態です。

 

寝たきりの状態でいるため、足を動かすと同じ一部分ばかりが床にこすれて出来ることもあります。

 

体重の軽い小型犬には少ないようですが、ある程度体重のある中型犬以上、特に大型犬は要注意です。

 

 

床ずれは一度起きるととても進行が早く、放置するとすぐにどんどん広がってしまい、骨まで見えるような深刻な状態になりかねません。 治療は皮膚が再生するのを待つことになりますので、かなりの日数を要します。

 

動けなくなった大型犬の介護では一番に注意したいポイントですね。

 

自力で動けなくなった時はまず一番に床ずれを起こさない予防策をとってください。

 

 

   床ずれのできやすい部分
   床ずれの進度チェック
   床ずれの予防策
   床ずれの処置方法

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床ずれのできやすい部分

 

床ずれのできやすい箇所の画像


床ずれは身体の骨の出っ張った部分が要注意箇所です。

  頬骨・肩・膝・骨盤・脚の関節 

 

足首の骨の出ているところも注意してください。
寝ている時 マットとの間に手を差し込んでみるとよく分かります。

 

 身体のこまめなチェックを・・・

寝返りをさせたり、身体をマッサージしてあげる時や排泄の始末で身体を拭いてあげるときなど、要注意箇所をしっかりチェックしましょう。
運動量が減り食事量が減ってくると益々骨が出っ張ってくるため、体重の重い犬は短時間でも床ずれを起こしやすくなります。

 

 

 


床ずれの進度チェック

 

      

 毛が切れたり薄くなっていませんか?
 皮膚が赤くなっていませんか?
 皮膚が白っぽく・水ぶくれになっていませんか?
 被毛がくっついたり固まっていませんか?
 皮膚に穴があき、ジュクジュクしていませんか?

  (傷口からは傷を治そうとして分泌液が出てきます)

 

 

 

 


床ずれの予防

 

 

 寝床(マット)の材質

 

寝床は柔らかいものに変えてください。柔らかいだけでなくムレないように通気性が良いことも大切です。
介護用のマットや低反発ウレタンマット、凹凸のあるマットなどが適しています。

 

マットの表面が滑りにくい素材の場合、足をよく動かすと布とこすれて傷になりやすいものです。マットの上に滑りの良いシーツをかけるなどしてください。

 

 管理人からひと言
先代犬の介護のとき、自力で歩けなくなった頃から床ずれには絶対させたくないと思って、すぐに介護マットを購入し使っていました。
寝たきりの期間や寝返りをさせる状況によっても違いはあるかと思いますが、最後まで床ずれを起こすことはなかったので、介護用のマットは床ずれ防止に有効だと思っています。

介護用マットは値段が少々張りますが、床ずれの痛々しさに加え、手当ての大変さや通院・薬・用品(テープやパッドなど)の代金を引き換えに考えてみると 決して高くない買い物だったと後から感じました。

 

老犬,床ずれ,予防 床ずれにさせない−介護経験から

 

 

 寝返りと体位を変える

 

できるだけこまめに(*1)体位を動かしてあげて 同じ部分が圧迫されないようにします。四肢の状態(硬直している)などにもよりますが、伏せの格好ができるのであれば たまには身体を起こしてあげましょう。クッションなどを胸やあごの下に挿し込んであげると楽なようです。

 

あるいは 身体の横にクッションや布団などで壁を作り 斜めにもたれかかるような姿勢にしてあげます。しばらくの時間でもこうした姿勢になることで同じ部分に重力をかけない工夫をします。血行にも良いようです。
※ 介護する方が腰を痛めないように注意しましょう。

 

大型犬の場合、女性ひとりで抱きかかえて一気に寝ている向きを変えるのは困難なので 先ず後ろ足を伏せの格好に直し、次に上体を(前足に気を付けながら)抱きかかえて伏せの格好から以前と逆の向きに寝かせ、最後に腰と後ろ足を同じ向きにしてあげます。

 

 

寝返りをさせる方法に注意!

寝返りをさせるときは必ず一旦フセ(腹ばい)の姿勢にしてから反対側へ寝かせます。 足を持って仰向けからぐるりと転がすやり方は、胃捻転を起こす危険があるので絶対避けてください。

 

動けずにじっとしていると関節が固まって足が硬直していることが多いので、身体だけを動かすと伸びきった状態の後ろ足を傷めてしまうので、先に足をゆっくりと曲げておいてから行ってください。

 

 

 (*1)・・・ 寝返りをうたせる間隔ですが、調べてみると15分おきに・・・というものから 1時間や2時間というものまで、さまざまです。使用している寝床(マット)や身体の状態などの条件が一定ではありませんので ここでは時間は指定していません。個々の状況による判断が必要とされます。

 

 

 


床ずれの処置方法

 

 

 床ずれになりそうなとき

 

被毛が擦れていたり、皮膚が赤くなっているなど、床ずれになりそうな部分を見つけたら
患部が直接 床に触れないないよう、タオルやクッション性のあるものを差し込んで周囲を少し高くし、患部を浮かせます。
血行を妨げないよう注意が必要です。
足の関節などはくっつく包帯を巻く、子供用のくつ下を履かせてくっつく包帯で止める、などの方法もあります。

 

 

 床ずれをみつけたら

 

すでに床ずれになっている場合はすぐに病院へ行って診てもらいましょう。
壊死した部分を取り除いたり細菌の感染を検査して処置をしてもらったうえで、細菌の感染の防止や床ずれの進行を抑えるために抗生剤の投与も必要になります。
家庭で手当てをする場合でも 先に病院の診察を受けるのがベストです。

 

 

 

 家庭での処置

 

傷口を体温くらいのぬるま湯で洗ってから処方してもらったぬり薬を使用していきます。
被毛がかぶさるところは短く切っておくほうが処置しやすく、衛生的です。

 

 

 傷口の洗い方
カット綿にぬるま湯を吸わせヒタヒタとゆっくり擦らないよう濡らしていきます。
軟かい素材のドレッシング容器などにぬるま湯を入れて垂らしてもいいですね。
ゆっくりそっと何度かやっていると膿も取れてきます。

 

傷口を洗うには必ずぬるま湯を使用します。消毒液は使いません
消毒液は新しく生まれる細胞の芽にまでダメージを与えることが解かり 
最近では傷口の治療には使用されなくなっています。
水も痛みを感じやすいので使用は避けます。

 

 

 処置の方法
傷口を乾燥させると痛みが出ます。
皮膚の再生のためには分泌液で潤っていることが必要ですので出てくる分泌液はふきとらないようにして、溢れ防止には生理用のナプキンなどを使用します。

 

直接ナプキンが傷口にふれると、分泌液を吸いとり過ぎたり傷口にくっついてしまうので それを防ぐために 傷口はラップ(食品用)で塞ぎその上からひと周り大きく切った生理用ナプキンで覆い、テープで止めておきます。

 

この時にも被毛が長いとテープが止まりにくので被毛は短くしておきます。
分泌液の少なくなったときは「ワセリン」(薬局で売っています)を傷口に塗って乾燥を防ぎ、同様に処置します。

 

傷のある部分は床に当たらないようにします。
患部が床から少し浮く程度に 血行を止めないように注意しながら薄いクッション性のあるものを差し込んでください。
あるいは 寝返りのところにも書きましたが、
身体を少し起こして斜めにもたれかかるような姿勢も傷の部分に圧がかからない方法です。

 

ドーナッツ型のパッドは血行を止めてしまう可能性があり、人の介護ではずいぶん以前から
使られなくなっています。

 

 

 ハエに注意

壊死した皮膚の臭いでハエが集り、卵を産みウジが発生しますので 傷口は必ず覆っておく必要があります。
外飼いの場合は特に可能性が高いので、寝床は屋内に移動することをおすすめします。

 

 

 

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