犬の認知症(痴呆)とは?
犬も長生きになった分、高齢になるほど認知症を発症するケースが多くなっています。
認知症を発症すると、それまで生活してきた習慣や学習して身についていた社会性や秩序が壊れてしまいます。
老化に伴う機能低下も加わるので、生理的欲求や本能のままの行動が表れてきます。
認知症の症状は、人の場合と同じように感情表現が無くなって、飼い主さんが呼びかけてもシッポを振るなどの反応を示さなくなります。
知っていたはずの人や物を認識できなくなったり、今まで出来ていたこと(しつけやトイレ)もできなくなっていきます。
飼い主さんが気付かないところで、認知症は進行してしまいます。
次のような変化を見逃さないようにして早い対策をうちましょう。
認知症の予兆
- 昼夜関係なくずっと寝ていることが増えます。
- 人や物・音に無関心になり、話しかけや指示にも反応が薄くなります。
- 寝ていておしっこを漏らしたり、違う場所でトイレをすることがあります。
- 歩くとき首と尾は垂れて目線には目標がありません。
最初の特徴は「反応がなくなる」ことです。
発症しやすい犬種があるようで、遺伝による影響もあるのではないかと言われています。
わが家でも最初に居た2匹の柴系mix達(17才)には、両方とも認知症の症状が出ましたが、先代のゴールデンレトリバー(14才)には症状はまったく出ませんでした。
日本犬の方が発症率が高いようです。
注意すること
残念ながら、認知症は完治することはありませんので、早期発見早期治療が大切です。
認知症がどんなものか知らないと、愛犬のようすを「老化のせい」と思い込んでしまう飼い主さんもいます。
徘徊や夜鳴きなどの重い症状が出て、初めて認知症では?と気がつくことも多いのです。
飼い主さんが認知症をよく理解し知識を増やすこと。早めに予防策を取ることです。
犬の認知症の症状は?
犬の認知症では下のような症状があります。
無反応
- 焦点の合わない眼差しで空間をじっとみつめていることがある。
- 他人や物に対して反応が無くなり、おもちゃなども興味を示さなくなる。
- 認知症が進むと飼い主に対しても反応しなくなる。(人の認識がなくなる)
失禁
- 排泄の調節ができなくなり、お漏らしをする(認知症でなくても高齢犬にみられます)
- しつけが出来ていたにもかかわらず、トイレの認識が無くなり場所やタイミングの関係なく失敗をする。
食欲がでる
- いくらでも食べようとする。水もよく飲む。が、太らない。
目的なく歩きまわる
- 同じ場所を歩き回ったり行ったり来たりする。
- 目的なく前へ前へと突き進み、後ろに戻ることができない。
- 壁や家具にぶつかる、家具や壁の隙間など狭いところに挟まり出られない。
昼夜逆転
- 睡眠のサイクルが狂ってしまい、昼に寝てばかりいて夜に動き回ったり鳴いたりする
鳴く
- 目や耳の不自由さ、身体の痛みや不快感があって、精神的な不安を抱えていることもある
- 昼夜逆転して夜になると鳴き続ける場合と
昼夜関係なく鳴き続ける(カン高い一本調子な鳴き声が特徴)こともある。
※老化による、別の脳の障害の場合もあります。
攻撃性
- 中には性格が攻撃的になって、飼い主の認識がなくなり噛み付くこともある。
失敗を叱っても仕方ありません
トイレの失敗など粗相をしたときは、叱ったり叩いたりするのは絶対やめてください。
脳の老化は行動も変えますが、精神面にもアンバランスを生じさせています。
そんなときに叱ったり叩いたらどうでしょう?よけいに不安が増してストレスが大きくなるだけです。
高齢になると、それでなくても耳や目が不自由になっていて、その不安がいつもあると言えます。しつこく鳴いたり(吠えたり)するのも、いつもどこかに不安があって何かを訴えていることもあるのです。
撫でてあげて「そばにいるよ。だいじょうぶだよ。」と声をかけてあげると、安心するようです。
添い寝をしたら夜鳴きが止んだという例もあります。
認知症の対策は・・・
人と同じように、認知症は発症してしまうと、飼い主さんやその家族の負担も増えることになります。
シニアの仲間入りをした頃から、早めの対策をとっておくことが必要です。
今では、有効なサプリメントもあるので助かりますね。
過去にウチにいた柴系MIXが認知症になったころには、犬の認知症はただの老いによる「ボケ」と扱われていました。
それを思えば、今は認知症の解明も進んで、打つ手があるというのは羨ましいことです。